彼とピアノ

彼はピアノが弾ける。

それもとても上手なのだ。

そもそも彼を知ったのは、私の好きだった人(🍑としよう。)が「彼はピアノがすごく上手なんだよ」と教えてくれたからだった。

私は🍑が好きだったから、🍑の言う「ピアノが上手な彼」はどんな人なのだろうと気になった。

…あなただって、好きな人の好みだとか興味のあるものには少なからず惹かれるだろう。

初めて彼のピアノをきいたとき、すごいなあと思った。もちろん、上手かった。私はピアノに詳しいわけじゃないから、どこがどううまいか説明しろ!なんて言われても無理だけれど。
でも分からないからこそ、純粋にうまいな。と。

最初はそれくらいだった。

そもそもピアノを日常的に目にしない、触れない、聴かない私にとって、ピアノの音はピアノの音だろうという程度だった。(曲に混じるピアノは耳にしているけれど、意識はしていないし。)

でも違った。彼のピアノの音色はすごく、柔らかいのだ。どうしてか、ピアノ独特のトゲトゲとした感触を感じない。ずっと聴いていられる音色。

何度でも聞きたい音色。

日々の辛いことが溜まっていたのかもしれない。たまたま私も知っている曲を彼が弾いてくれたからかもしれない。

それでも。心を動かされた。あの感覚は忘れられない。感動して涙が出た。自分でおかしくて笑ってしまった。彼のピアノの音色の特別感、心地良さを知った。

私にとって彼の奏でるピアノは特別なのだ。格別なのだ。何にも変えられない大切な、大切にして欲しいものなのだ。

彼のピアノの手元を映した動画がある。これは彼から頂けたものなんだけれど、それももう、何度も再生している。

引っ越してから、彼はまだピアノを弾いていない。というか買っていない。早く聞きたいなぁ。って思ってるよすごく。でも何度も何度も弾いてほしい!なんて言って、彼がもう嫌だと思ってしまうのが不安だから、2度くらい、あなたのピアノが大好きだから弾いて欲しいと伝えたあとは、言ってない。

そんなにパッと買えるものでもないですもんね。
ピアノ買うための貯金貯めようかなぁ。私も少し弾いてみたいなぁと思うし。いいかも。

🍑の一言がなかったら…私があの後、彼のピアノを聞きに行かなかったら…今ここには全く違う状況が生まれているんだなぁと思うと、本当に、なんだろう、苦しくなる。知れてよかった。関われて良かった。

🍑には感謝しないとなあ…。ありがとう🍑…。

眠れないし、今日も彼のピアノを聴こうかな。